著者 紹介

大熊 裕哉

新潟県新潟市

おおくま鍼灸マッサージ治療院

URL

http://okumachiryouin.com

 

鍼灸説約

手太陰肺経穴。凡そ十一穴(左右合わせて二十二穴)

中府・雲門・天府・夾白・尺沢・孔最・列缺・経渠・太淵・魚際・少商

 

中府(脈経より)は雲門の下一寸に在り。任脈を去ること六寸。

針三分。灸五壮。喉痺、胸中煩満、肩痛んで挙げること得ざること治す。

雲門(素問より)は巨骨の下、璇璣の傍六寸に在り。針灸は中府と同じ。

喉痺胸満を治す。千金に云く。灸するに五十壮。主に傷寒の熱已まず欶逆短気治す。

 

天府(素問より)は腋下三寸。臑(腕)内廉、動脈手に応ずるに在り。

針四分。灸三壮。鼻血止まらずを治す。按ずるに諸々鍼灸を禁ずる穴。

 

今多く従わず、それ病有る頭縦より踵に至るに鍼灸を施すことできないところは無しなり。その病無きか如きは、頭縦より踵に至るまで鍼灸すことできるところ無しなり。但し一身動脈、手に応ずるの穴は概ね鍼灸を禁ず。法則においてすでに在るものに非ずんは慎みて針すること勿れ。動脈陥下するものに非ずんば慎みて灸する勿れなり。手術においてすでに得ず灸法において心に熟せずして、そして人を誤り道を誤る者。世は何ぞおびただしき。又按ずるに経に曰く(霊枢)凡そ動脈上を刺す者は絶してその脈を按じてそれを刺す。熟を刺す者は手を以て湯を探るが如し寒清を刺す者。人の行いを欲せざるが如くすなり。それ不易の心法なり。

 

侠白(甲乙経より)肘上五寸、動脈手に応ずるに在り。針三分。灸五壮。心痛煩満を治す。

 

尺沢(素問)肘中の横紋上の動脈中に在り。鍼灸は侠白に同じ。吐血。喘急。五般(一般?)の肘の痛み。四肢暴に腫れるを治す。瀉血の法をおいてこの穴の分かれに行うもの。慎んで動脈上を刺すこと勿れ。血出で止まずまで致す。

 

孔最(甲乙経より)腕上7寸陥中に在り。刺、灸は侠白に同じ。臂厥痛。熱病汗出ずを治す。

 

列缺(霊枢より)側腕上一寸半に在り。手を以て交差し食指(人差し指)末、筋骨の隙の中に当たる。千金翼方に云く、陽脈逆反して寸口大なるして三倍、人或いはそれ有るは鍼2分。灸3壮。偏風口歪み、半身不随、掌中熱、歯痛を治す。

 

経渠(霊枢より)寸口のこれ脈中に在り。針3分。灸3壮。心痛、嘔吐、咳嗽、上気、数欠、熱病汗出ず、小児暴喘を治す。

 

太淵(素問より)掌後ろ陷中に在り。按ずるに経渠、太淵二穴共に寸口の脈中に在りなり。寸口において、一側指を按じ腕に近きを太淵と為し、関に近きを経渠と為す。針2分。灸3壮。経渠と同じく治す。神應経に云う。歯疼き、手腕力無く疼痛、灸よしとする7壮。

 

魚際(霊枢より)大指第節後に在り。針灸は太淵に同じ、目眩、煩心、少気、寒慄、咽頭乾燥、嘔血、唾血、肘攣、支満、心痺を治す。もし血絡あるものはその血を瀉し、血変して止む。

 

少商(霊枢より)大指の内側爪甲の韭葉の如き角を去ること一分。針一分。灸三壮。腹脹、脹満、雀目、小児の乳蛾(扁桃炎)、喉痺水粒下らずを治す。三稜鍼をもって微に血を出して立つところ癒える。天星秘訣に云い伝えると指痛攣急を治す。按ずるに孤崇二十七壮。