著者 紹介

大熊 裕哉

新潟県新潟市

おおくま鍼灸マッサージ治療院

URL

http://okumachiryouin.com

 

症例 - 群発性頭痛 -

30代女性

主訴:片側の眼の奥、こめかみの痛み

 

症状:数週前から頭痛(疼く様な痛み)が出ていた。いつもの片頭痛と思い市販薬飲むも治まらず。日によって波はあるが、鈍く弱く痛み続き、来院10日前に激しい頭痛に変わる。耳鳴りのような脈の拍動音が右のみ聞こえる。目の奥をえぐるような痛み。痛みにより日常生活が送れない。

 

望診:顔面蒼白、やせ型

 

腹診:下腹に抵抗+、左右大巨に硬結

 

脈診:沈虚 右関上、左関上は浮やや数

 

切診:頭部全体に熱の停滞、手足厥冷、下肢胆経に硬結+、頭部および眼窩部周囲に圧痛-、肩背部膀胱経、胆経に緊張+

 

考察:はっきりした原因なく、増悪因子も不明。朝方痛くて目が覚める。右側の固定痛。頭を氷マクラで寝ると少しラク。

およそ1年前に自動車による追突事故があり、元々頭痛持ち、子供の事でストレスもかかりやすいなど、熱が頭部に上昇することで瘀血の形成を起こしたのではないかと考えた。

血が流れないため顔面は蒼白、熱だけが滞るため頭に繋がる経絡の脈は浮を呈したのではないかと思われる。

証は脾虚肝実瘀血証

 

処置:大陵、太白、三陰交(瀉)陽輔(瀉)合谷(瀉)中渚(瀉)、中脘、関元(灸)、大巨(灸)、右のみ魚眼、太陽、翳風に置針。脾兪、厥陰兪、大腸兪、天柱、風池、肝兪(瀉)、膈兪(瀉)

 

経過:1診後、術前と比べ痛みに変化はないが耳鳴りが軽減したが数時間後もどる。

 

2診も同様に処置。百会、頭臨泣に接鍼を加える。

 

2診後も頭痛は同じ、病院で処方されたトリプタン系頭痛薬が飲むと以前より効果が出ている。夜は楽な時間があり、痛くて起きることはなかった。

 

3~4診と同様に。陽白・太陽に灸3壮加える。脈は力出てきている。

痛みが増す時間が以前より減ったきた。が弱い痛みはずっと出ている。

 

7診目で百会と足竅陰に刺絡。

 

9診目、目の奥の痛みが減らない。強くなりそうな時点で薬を飲んでしまう。

 

10診目、脈落ち着いてきている。頭部熱も治まり、肝虚陰虚として、頭部・顔面部も浅く単刺に変更(不通則痛のための鍼)。痛みも減ってきて、夜も眠れるようになり、食事も通常通り取れている。

 

徐々に薬を飲まなくても我慢できる範囲の痛みになり、薬の量も減る。

うずく感じがでたりしても強い痛みに移らなくなり治療は終了。

 

この症例では頭部瘀血が問題で、瘀血を取る、もしくは通すという難しさを感じた。7診まで刺絡をしなかったのは刺絡に抵抗があったためだが、時として必要な場合もある。もう少し短い期間で痛みを軽減できたのではないかと今後の課題とする。


ちなみに治療期間中に医師に「群発性頭痛」と診断されたが、私は自律神経が関与した「慢性片頭痛」ではないかと思われる。


今後も度々発作的な痛みが出ていれば「群発性頭痛」とも考えられるが・・・・・