30代女性
主訴:帯状疱疹による肋間神経痛
症状:治療前日より脇の痛みを感じ、徐々に増悪。右第8肋間外側面部、心窩部に指頭大の発疹確認。
望診:色白、やや頬がこけている
腹診:心窩部の抵抗+、左大巨圧痛+
脈診:沈弦実 右関上は浮実 沈めて虚
考察:以前から診ているが脈は大きく、弦や滑脈を呈している陰虚体質。しかし今回は沈脈で実脈がみられ、左大巨の圧痛は顕著に現れ、神経痛は瘀血によるものと考えた。虚労による熱が恐らく胃熱になり、胃熱が肝熱へ移行した様子。現象の以前から脇腹の痛みは左側などにも現れていた。
証は脾虚肝実瘀血証として。
処置:大陵、太白、三陰交(瀉)、中脘、天枢、大巨(瀉)、足臨泣、発疹部に透熱灸。脾兪、肝兪(瀉)、膈兪(瀉)、多列筋硬結に置針。
経過:急性症状のため毎日治療した。術後の変化はないが、計4回の同様治療で5日目の午後には神経痛は消失。発疹も瘡蓋になっていた。
3回目、4回目の治療時には脈の変化が出やすくなり、大巨の圧痛はほぼ消失。脈状から、そろそろ治まるだろうと推測できた。
瘀血でも慢性(古い)瘀血は圧痛が取れにくい事が経験上あるが、急性のものは取れやすいようだ。
肋間神経痛は治療経験があったが、帯状疱疹を薬なしで治せたことはいい経験になった。しかし今回は軽度なものだったから効を奏したのかもしれない。是非また治療に当たれればと思う。